「AGAは発症したら終わり」は本当?進行を防ぐ対策と治療法を解説
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「AGA(男性型脱毛症)は発症したら終わり」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 確かにAGAは進行性の脱毛症であり、何も対策をしなければ薄毛はどんどん進んでいきます。しかし、適切な治療や生活習慣の改善を行うことで、その進行を遅らせたり、発毛を促したりすることが可能です。
本記事では、AGAの原因や進行の特徴を解説するとともに、「発症したら終わり」と言われる理由を掘り下げます。さらに、現在利用できる治療法やAGAの進行を防ぐ対策についても詳しく紹介。AGAが気になる方が適切な選択をできるよう、わかりやすく解説していきます。「もう手遅れかも…」と悩む前に、今できることを一緒に確認していきましょう!
1. そもそもAGAとは?
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響により発症する進行性の脱毛症です。主に額の生え際や頭頂部から薄毛が進行し、放置すると広範囲にわたる脱毛が見られるようになります。AGAの特徴として、遺伝やホルモンバランスが大きく関与しており、自然治癒することはほとんどありません。
AGAの原因とは?
AGAの主な原因は、男性ホルモン「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素によって変換されることで生じる「ジヒドロテストステロン(DHT)」です。DHTは毛根にある受容体と結びつくことで、髪の成長を抑制し、ヘアサイクルを短縮させます。その結果、毛が十分に成長しないまま抜け落ちてしまい、薄毛が進行します。
また、以下の要因もAGAの進行に影響を与えます。
- •遺伝:家族にAGAの人がいる場合、発症リスクが高まる
- •生活習慣:食生活の乱れ、睡眠不足、ストレスなどが影響
- •血行不良:頭皮の血流が悪くなると、毛根に必要な栄養が届かなくなる
AGAの進行パターンと特徴
AGAは徐々に進行する脱毛症であり、以下のような段階を経て悪化していきます。
- •M字型脱毛:額の生え際が後退し、M字型に薄毛が進行
- •O字型脱毛:頭頂部の毛が薄くなり、地肌が透ける
- •全体的な薄毛:進行が進むと、前頭部と頭頂部がつながり、全体的な薄毛に

これらの進行パターンを理解し、早めの対策を行うことがAGA対策の第一歩となります。
他の脱毛症との違い
AGAと他の脱毛症(円形脱毛症や脂漏性脱毛症など)は原因や特徴が異なります。
- •円形脱毛症:自己免疫疾患が原因で、突然円形の脱毛斑ができる
- •脂漏性脱毛症:皮脂の過剰分泌が原因で、頭皮の炎症によって髪が抜ける
- •ひこう性脱毛症:フケが毛穴を塞ぐことで脱毛が進行
AGAは「進行性」という点が大きな特徴であり、放置すれば徐々に悪化します。そのため、他の脱毛症と区別し、適切な治療を選択することが重要です。
2. 「AGAは発症したら終わり」といわれる理由

進行性の脱毛症のため、治療しないと悪化するから
AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると徐々に悪化します。特にDHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受け続けると、毛根が徐々に弱り、最終的には産毛すら生えなくなる可能性があります。初期段階では細く短い毛が生えているものの、進行するにつれ毛根の機能が衰え、髪が生えなくなってしまいます。
また、AGAの進行は年齢とともに加速することが多く、20代・30代で薄毛が気になり始めた場合、適切な対策をしないと40代・50代には広範囲にわたる脱毛が進む可能性が高いです。そのため、発症したら早めの対策が重要になります。
治療の効果が出るまでに時間がかかるから
AGAの治療は即効性があるものではなく、効果を実感するまでに3〜6か月、場合によっては1年以上かかることもあります。これは、AGA治療のメカニズムが「抜け毛を減らす→髪の成長を促す」という段階を踏むためです。
治療初期には「初期脱毛」と呼ばれる現象が起こることがあり、一時的に抜け毛が増えることがあります。この段階で治療をやめてしまう人もいますが、これは新しい髪が成長する準備段階であり、継続することで効果が現れます。
また、AGA治療は「毛周期(ヘアサイクル)」の影響を受けます。髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」を繰り返しており、成長期に入らなければ新しい毛は生えてきません。そのため、治療を開始してもすぐに目に見える変化はなく、効果を感じるまでに時間がかかるのです。
「完治」せず、継続的な治療が必要だから
AGAは一度治療を始めても、途中でやめると再び進行してしまいます。これは、AGAの根本的な原因であるDHTの影響が続く限り、毛根が再びダメージを受けてしまうためです。
例えば、フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)といった内服薬は、DHTの生成を抑えることでAGAの進行を防ぎますが、服用を中止すると再びDHTが増え、脱毛が進んでしまいます。そのため、AGA治療は「続けること」が重要であり、「完治する」という概念ではなく「進行をコントロールする」ことが目的となります。
また、AGAの進行を完全に食い止めるには、生活習慣の見直しや適切なケアも欠かせません。食事や睡眠、ストレス管理を含めた総合的な対策を行うことで、より効果的にAGAの進行を抑えることができます。
不安をあおるメディアの影響も大きい

近年、インターネットやSNS、広告を通じて「AGAは治らない」「発症したら終わり」といった不安をあおる情報が広まっています。特に、恐怖心を煽ることで特定の商品や治療法を売り込むケースもあり、これが「AGAは手遅れ」という誤解を生む原因の一つとなっています。
また、AGAに関する情報は玉石混交であり、科学的根拠に基づかない誤った知識が広まりやすいのも問題です。例えば、「シャンプーを変えればAGAが治る」「食事を改善すれば発毛する」といった単純化された情報が流布されることがありますが、実際にはAGAの進行を止めるには医学的な治療が必要です。
このような情報に振り回されることなく、信頼できる医療機関や専門家の意見を参考にすることが大切です。
3. AGAは「発症したら終わり」ではなく、治療によって改善できる
AGA治療で発毛が期待できる理由
AGAは進行性の脱毛症ですが、適切な治療を行えば進行を遅らせたり、発毛を促したりすることが可能です。特に、以下の治療法は科学的に効果が認められています。
- •フィナステリド(プロペシア)・デュタステリド(ザガーロ):DHTの生成を抑え、抜け毛の進行を防ぐ
- •ミノキシジル:血流を改善し、毛母細胞を活性化して発毛を促す
- •育毛メソセラピー:成長因子を直接頭皮に注入し、発毛を促進
- •自毛植毛:自分の髪を移植し、自然な毛量を回復
これらの治療を適切に組み合わせることで、多くの人が発毛を実感しています。
治療を早く始めることが重要な理由
AGAは早期に治療を開始するほど効果が出やすいことが知られています。毛根が完全に機能を失ってしまうと、どんな治療をしても髪を取り戻すことが難しくなります。そのため、以下のような症状を感じたら、早めに専門医の診察を受けることが推奨されます。
- •抜け毛が増えたと感じる
- •髪が細くなってきた
- •生え際や頭頂部のボリュームが減った
早期の段階で治療を始めることで、薄毛の進行を抑え、発毛効果を最大限に引き出すことができます。
生活習慣の改善でも進行を抑えられる
AGA治療は薬だけでなく、生活習慣の見直しも重要です。特に以下のポイントに注意することで、治療効果を高めることができます。
- •バランスの取れた食事:亜鉛やビタミンB群を積極的に摂取
- •十分な睡眠:成長ホルモンの分泌を促し、髪の成長をサポート
- •ストレス管理:ストレスはホルモンバランスを崩し、AGAを悪化させる可能性がある
- •適度な運動:血流を促進し、毛根に栄養を届ける
これらの対策を併用することで、より効果的にAGAの進行を抑えることができます。
4. AGAの治療方法と期間
ミノキシジル(外用薬・内服薬)
ミノキシジルは血管を拡張し、毛根への血流を促進することで、髪の成長をサポートするとされています。外用薬(塗布タイプ)と内服薬の2種類があり、一般的に6か月以上の継続使用が推奨されます。
フィナステリド・デュタステリド(内服薬)
これらの内服薬は、AGAの原因とされるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える働きがあります。継続的に服用することで、抜け毛の進行を抑える効果が期待されています。効果が出るまでに3〜6か月かかることが一般的です。
各種の注射療法(育毛メソセラピー・PRP療法)
頭皮に直接成長因子や栄養素を注入することで、毛根の働きを活性化するとされる治療法です。クリニックによって異なりますが、1〜2週間ごとに数回の施術を行うケースが多く、数か月かけて効果を実感しやすくなります。
自毛植毛
自身の後頭部などから健康な毛根を移植する方法で、定着すれば半永久的な効果が期待できます。移植後の定着までに数か月を要し、最終的な結果が出るまでには1年程度かかることもあります。
治療期間の目安
AGA治療は長期的な視点で取り組むことが重要です。治療方法によって期間は異なりますが、以下が一般的な目安とされています。
いずれの治療法も、継続することでより高い効果が期待できるため、自己判断で中止せず、専門医と相談しながら進めることが大切です。
5. AGAを発症しても過度な心配は不要

治療を続ければ進行を抑えられる
AGAは進行性の脱毛症ですが、適切な治療を続けることで進行を抑えることが可能とされています。特に、フィナステリドやデュタステリドなどのDHT抑制薬は、継続的に服用することで抜け毛を抑える働きがあるとされ、多くの人が薄毛の進行を食い止めています。
また、ミノキシジルのような発毛をサポートする成分を併用することで、より良い頭皮環境を維持しやすくなります。大切なのは、短期間で結果を求めず、継続的にケアを行うことです。
早期対策で見た目の変化を最小限に抑える
AGAの進行を抑えるためには、早めの対策が重要です。抜け毛が気になり始めたら、すぐに専門医に相談し、自分に合った治療法を選択することで、見た目の変化を最小限に抑えることができる可能性があります。
また、生活習慣の改善もAGAの進行を遅らせる一因となります。バランスの良い食事や十分な睡眠、ストレス管理などを意識することで、健康な髪を維持する助けとなるでしょう。
AGA治療はポジティブな選択
AGAは「発症したら終わり」ではなく、適切な治療を続けることでコントロール可能な症状です。悲観するのではなく、自分に合った方法で対策を講じることが大切です。
現代では、オンライン診療や自宅での治療も可能になり、AGA治療へのハードルは低くなっています。自分に合った方法を見つけ、前向きに取り組むことが大切です。

6. よくある質問(FAQ)
Q.AGAの治療は何歳まで効果がある?
A.AGA治療の効果は年齢に関係なく期待できますが、一般的に早期に開始するほど進行を抑えやすいとされています。高齢になっても治療を継続することで、薄毛の進行を抑え、頭皮環境を整えることが可能です。
Q.AGAの進行を止めるだけの治療法はある?
A.DHTの生成を抑えるフィナステリドやデュタステリドは、AGAの進行を抑える働きがあるとされています。発毛を目的としない場合でも、抜け毛の抑制を目的に使用されることが多いです。
Q.市販の育毛剤でAGAの進行を止められる?
A.市販の育毛剤には、血行促進成分や保湿成分が含まれるものが多いですが、AGAの根本的な原因であるDHTの影響を抑える効果は期待できません。AGA治療薬と併用することで、頭皮環境のサポートとして役立つ可能性があります。
Q.AGA治療をやめると元に戻る?
A.AGAの治療を中止すると、DHTの影響が再び強まり、時間の経過とともに抜け毛が進行する可能性があります。治療を継続することが重要です。
Q.クリニックとオンライン診療、個人輸入代行の違いは?
A.クリニックでは医師の診察を受けながら治療を進められるため、適切な処方や副作用の管理が可能です。オンライン診療は通院不要で自宅で治療を続けられるため、忙しい方や人目を避けたい方に適しています。
個人輸入代行は、海外のAGA治療薬を比較的安価に入手できる方法ですが、偽造品のリスクや品質管理の問題があるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。また、副作用や適切な服用方法について自己責任で管理する必要がある点も注意が必要です。
7. まとめ
AGAは「発症したら終わり」ではなく、適切な治療を行えば進行を抑え、髪の健康を維持することが可能な症状です。フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジルの外用薬、自毛植毛など、多くの治療法があり、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
また、治療は継続が大切であり、途中でやめると再び進行する可能性があるため、長期的な視点を持つことが必要です。さらに、クリニックでの診療、オンライン診療、個人輸入代行など、治療の選択肢も多様化しています。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。
AGAの進行が気になる方は、早めの対策が鍵となります。信頼できる専門家に相談し、適切な治療を受けることで、より良い頭皮環境を維持していきましょう。
8. 出典
- •日本皮膚科学会 AGA診療ガイドライン 2017年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf - •厚生労働省「医薬品医療機器等法(薬機法)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html - •国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「ミノキシジルの効果と作用機序」
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/ - •日本臨床毛髪学会「フィナステリド・デュタステリドの適応と注意点」
https://www.jshrs.org/ - •海外論文:Finasteride and Dutasteride in Androgenetic Alopecia Treatment(J Dermatol Sci, 2020)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
