ヘルペスは性病?間違った知識・偏見・治療・再発予防法について解説

一般的にヘルペスというと、性器にみずぶくれができる性器ヘルペスを思い出すのではないでしょうか?実をいうと、これ以外に口唇にみずぶくれができる口唇ヘルペス、体幹などに帯状のみずぶくれ・皮疹ができる帯状疱疹があります。これらの病気は、別々に異なる病気です。
この記事では、ヘルペスの種類、原因、症状、再発の仕方、治療、再発予防などについて解説します。これを読めば、ヘルペスの正しい知識を身につけられるでしょう。また個人輸入で手に入るヘルペスの薬をご紹介します。ヘルペスの治療や再発予防のために役立ててみてください。
ヘルペスの概要と種類
ヘルペスとは小さなみずぶくれ(水泡)があつまった急性炎症性皮膚疾患です。単純疱疹と帯状疱疹の2種類を含みます。この2つは、別々のウイルス感染で起こる別の疾患です。途中で他方の疾患に入れ替わることはありません。ただし両方ともにかかることはあります。(参考1

単純疱疹について
単純ヘルペスウイルス感染による疾患です。原因となるウイルスにはHSV-1,HSV-2の2種類があります。
〈好発部位〉
体中のどこにでも感染しますが、口唇、性器、顔面、でん部(おしり)が多くみられます。
〈感染の仕方〉
単純疱疹は主に接触感染で起こります。HSV-1は病巣の水泡や唾液などとの接触感染でおこりますが、まれに飛沫感染の場合もあります。ありふれた病気で、幼少期から成人期までに45%位の人が感染します。HSV-2は性行為で感染します。
〈感染後の経過〉
初めて感染した場合、大抵は無症状ですが、高熱を伴った水泡がみられることもあります。一度感染しても再感染することがありますし、HSV-1に感染したヒトが、HSV-2に感染することもあります。初感染後にウイルスは知覚神経の細胞核中に遺伝子の形で潜伏するのが特徴です。そして歯科治療、性交、ストレス、細胞性免疫の低下などでウイルスが再活性化して症状を起こします(再発)。HSV-1は平均2回/年、HSV-2は平均9回/年くらい再発します。再発時に口唇、顔面、性器、でん部などに水泡が出現します。口唇、顔面にできるのが口唇ヘルペス、性器、でん部にできるのが性器ヘルペスです。再発の場合は既に免疫ができていますので、症状は軽いのが特徴です。(参考1
帯状疱疹について
水痘・帯状疱疹ウイルス感染による疾患です。
〈好発部位〉
知覚神経のあるところならどこにでも発症しますが、特に体幹の片側に多くみられます。おでこから眼球にかけても好発部位です。
〈感染の仕方〉
みずぼうそう(水痘)の人の咳・くしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染(飛沫感染・空気感染)します。また水泡の浸出液に接触することでも感染(接触感染)します。初感染で水痘になり、水泡ができた皮膚から神経を伝って、所属の後神経節内にウイルスが潜伏するのが特徴です。水痘は1度かかれば再びかかることはまずありません。帯状疱疹の人から直接感染することはない点に注意してください。
〈感染後の経過〉
過労、免疫機能の低下、手術、放射線治療などが誘因となり、ウイルスが再活性化します。ウイルスは知覚神経を伝って皮膚に達し、虫刺されのような赤い丘疹が出現します。発熱・リンパ節腫脹がみられることもあります。やがて神経の走行に沿って複数の水泡が帯状に出現するのが帯状疱疹です。水泡の内容物は初め透明で、途中から膿がたまってきます。1週間くらいで破れてびらんまたは潰瘍になり、2週間目にかさぶたができます。3週間目にかさぶたが脱落して治癒するといった経過です。病変が広範囲となり激痛を伴い、重症化することもあります。さらに顔面神経麻痺、運動麻痺、便秘、尿閉などの合併症をおこすことがあるため、注意が必要です。 (参考1
ヘルペスの治療と再発予防
単純疱疹および帯状疱疹の治療法ならびに再発予防法を解説します。
〈単純疱疹の治療〉
初感染や中等症の場合、抗ヘルペス薬(アシクロビル、バラシクロビル)を内服します。
関連した薬は以下のとおりです。
服用方法・副作用など、詳しい内容は商品のリンクページをご覧ください。
軽症の場合、抗ヘルペス薬(アシクロビル、バラシクロビル)の外用のみで治療することもあります。
関連した薬は以下のとおりです。
- •ゾビラックスクリーム5%:アシクロビルを主成分とする外用薬
- •アシビルクリーム:バラシクロビルを主成分とする外用薬
使用方法・副作用など、詳しい内容は商品のリンクページをご覧ください。
重症の場合、抗ヘルペス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注で治療します。
〈単純疱疹の再発予防〉
年間に6回以上再発をくり返す場合、抗ウイルス薬を毎日服用します(抑制療法)。
具体的にはバラシクロビル500mgを1日1回1年間服用する方法です。
その後は症状をみて、継続・投与量を検討します。 (参考1

〈帯状疱疹の治療〉
抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の全身投与を出来るだけ早期に開始します。
関連した薬は以下のとおりです。
服用方法・副作用など、詳しい内容は商品のリンクページをご覧ください。
重症の場合、入院して抗ウイルス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注で治療します。水泡には細菌の2次感染を防ぐため抗生物質の外用薬を貼布、潰瘍には潰瘍治療薬を貼布することもあります。
また帯状疱疹は疼痛を伴うことが多くみられ、対策が必要です。急性期の疼痛に対して、アセトアミノフェン、リン酸コデイン、副腎皮質ホルモンが使用されています。激痛に対して神経ブロックを行うこともあります。(参考1
〈帯状疱疹の再発予防〉
一度帯状疱疹にかかると免疫ができ再発しにくくなりますが、免疫機能が低下すると再発することがあるのが特徴です。
再発予防のため50歳以上の方を対象に帯状疱疹の予防接種ができます。予防接種によりウイルスに対する免疫機能が強化されます。 (参考2

ヘルペス治療薬の手に入れ方
ヘルペス治療薬は保険適応であり、医療機関で処方してもらえます。あるいは個人輸入代行サイトで購入することも可能です。通院が難しいなどの理由で、ネットで購入することがあります。ただしジェネリックには偽造品も含まれるため、信頼のおける製薬会社・個人輸入代行サイトから購入してください。この記事でご紹介した商品は、当サイト「お薬市場」で購入できます。
また単純疱疹の再発予防、帯状疱疹の治療・予防については、やり方が難しいため、必ず医療機関で医師の指示を受けながら処方してもらいましょう。
ヘルペスの心理的影響とサポート
カップルのどちらかが性器ヘルペスであることが分かった場合、パートナーから浮気を疑われることがあります。それがもとになって、カップルに不和が生まれてしまいがちです。ところが全く誤解である場合があるため、正しい知識を身につけることが必要です。
性器ヘルペスでは、女性の外陰・膣の入り口、男性の亀頭・包皮・陰茎体部などに水泡や潰瘍がみられる病気です。性器ヘルペスは、性行為によってHSV-2ウイルスが感染して起こります。
ただし感染してすぐに発症するわけではなく、症状があっても全く気づかないこともあるのです。そして数カ月~数年後に再発して、初めて気づきます。ですから男女のパートナーのうち、どちらが先に感染したのかは分かりません。
男女どちらかが初めて発症した場合、パートナーからうつされたとは限らないのです。逆にパートナーはあなたからうつされたのかもしれません。またHSV-2ウイルスが付着した食器やタオルから感染することもあります。この場合、誰も浮気はしていないわけです。
ですから責任を追及するよりも、カップルで一緒にちゃんと治療を受けることが大切です。治療を受ける際に、心理的なサポートも受ける必要があり、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科を受診してください。
社会的偏見への対応と啓発
1980年に米国で性器ヘルペスが増加した際に、米国の雑誌タイムが特集として取り上げ、ヘルペスといえば性器ヘルペスというイメージが定着してしまいました。
そのためヘルペスと言えば性感染症という偏見があります。
偏見をもとにした差別的取り扱いの事例は以下のとおりです。
- •感染したことを理由に会社を解雇されたり、出社を拒否されたりする
- •親の感染を理由に、子どもが保育園の利用を拒否される
- •感染者の名前や行動を特定し、SNS等で公表する
- •訪れた店から謝罪・賠償を強要される
これらの偏見・差別はあってはならないことであり、対策が必要です。国や地方公共団体は、感染症に関する差別的取り扱いの啓発活動を行っています。
- •(法務省)感染症に関連した差別や偏見をなくしましょう(外部サイト)
- •(厚生労働省)「#広がれありがとうの輪」プロジェクト ~医療従事者・感染者・その周囲の方々の差別偏見をなくすために~(外部サイト)
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まとめ
ヘルペスには、単純ヘルペス(口唇ヘルペス・性器ヘルペス)、帯状疱疹があります。これらは別々の病気であり、この記事では原因・症状・治療法・再発予防の仕方を解説しました。さらにご紹介した治療薬は以下のとおりです。
| 商品名 | 形状 | 主成分 | 効果 |
| ゾビラックス | 錠剤 | アシクロビル | ヘルペスの治療 |
| バルクロビル | 錠剤 | バラシビル | ヘルペスの治療・再発予防 |
| バルシビル | タブレット | バラシクロビル | ヘルペスの再発予防 |
| ゾビラックスクリーム | クリーム | アシクロビル | ヘルペスの水泡改善 |
| アシビルクリーム | クリーム | バラシクロビル | ヘルペスの水泡改善 |
一般的にはアシクロビルよりもパラシクロビルの効果が高いようです。
ヘルペスは全て性病であり、再発を繰り返す厄介な病気という偏見があります。このためパートナーの間で不和が生まれたり、差別的に取り扱われたりすることがあります。しかし全てが性病ではなく、ウイルスが付着した食器やタオルから感染することもある病気です。また帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水痘が原因です。
さらに性器ヘルペスといえども、抑制療法を行えば再発を予防できますし、パートナーへの感染も防げます。誤った情報から生じた偏見に振り回されることはありません。
参考サイト
参考1:ヘルペスと帯状疱疹|日本皮膚科学会
参考2:帯状疱疹のことを皮膚科医に聞く|帯状疱疹予防jp
参考3:感染症に関する偏見や差別は許されません|久留米市
