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生理痛には、我慢していい痛みと、調べたほうがいい痛みがあります

目次

生理痛には、我慢していい痛みと、調べたほうがいい痛みがあります

カバンにいつも、鎮痛剤が入っている。

毎月、来る日がだいたい分かるから、前の日から1錠。当日は朝と昼。それでしのげるから、しのいできた。

体質だから。みんなそうだから。病院に行くほどではないから。そうやって続けてきたその痛みは、我慢していい痛みでしょうか。それとも、調べたほうがいい痛みでしょうか。

先に、答えの形だけお見せします。鎮痛剤が効いていて、生活が回っているなら、対処できている痛み。効かなくなってきた、寝込む日がある、年々重くなっているなら、調べたほうがいい痛み。この線引きは、自分でできます。

先に、この記事を書いている立場を明かしておきます。私たちは、薬の通販を扱う店です。低用量ピルも取り扱っています。その店が、この記事では「買う前に、一度だけ調べてほしい痛みがある」という話をします。

先に言っておきます。この記事は「痛み止めをやめましょう」という話ではありません。やめたほうがいいのは、効いていないのに我慢を続けることのほうです。

この記事で分かること

我慢していい痛みと、調べたほうがいい痛みの線引きのしかた
・調べたほうがいい痛みの8つのサイン(チェックリスト)
・市販の鎮痛剤の添付文書に書かれている「受診の目安」
・重い生理痛と子宮内膜症の関係。放置で何が起きるか
・婦人科で実際に何をするか。内診は必須ではありません
・受診のとき、これだけ言えば伝わるという伝え方

※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供です。診断・治療に代わるものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、医師・薬剤師にご相談ください。


痛み止めが効いているうちは、大丈夫だと思っていた

生理痛は、我慢する人が多い痛みです。感覚の話ではなく、数字があります。

日本産婦人科医会の資料に載っている千葉県の調査では、71%が月経時の痛みを経験し、その対処でいちばん多かったのは「我慢する」(43%)でした。鎮痛剤を使う人(35%)よりも、我慢する人のほうが多いのです。

経済産業省の試算(2024年)では、月経に伴う症状による欠勤やパフォーマンス低下の経済損失は年間およそ0.6兆円とされています。大きな数字ですが、これは社会の話というより、それだけ多くの人が、痛みを抱えたまま働き、学んでいるという話です。

もうひとつ、生理痛には厄介な性質があります。人と比べられないことです。血圧なら数字で比べられますが、痛みは自分の分しか知らない。「みんなこれくらい我慢しているのだろう」という想像は、確かめようがないまま基準になります。実際には、同じ「生理痛」という言葉の中に、鎮痛剤なしで過ごせる人と、毎月寝込む人が同居しています。

71
月経時の痛みを経験
(千葉県調査)
43
対処の最多は「我慢する」
0.6兆円
月経随伴症状による
年間の経済損失(経産省試算)

我慢が標準になっている。だから「自分だけ大げさにできない」と感じる。その気持ちの中に、性質のちがう2種類の痛みが混ざっています。まず、そこを分けるところから始めます。

カバンの中にいつも入っている鎮痛剤のシートのイラスト
「いつものこと」になると、区切りがなくなります。

痛みの出どころは、2つあります

医学的には、生理痛(月経困難症)は大きく2つに分けられます。

ひとつは機能性。背景に病気がないタイプです。子宮を収縮させる物質(プロスタグランジン)が多く出ることで、収縮が強くなりすぎて痛みます。10代のうち、初経から半年〜数年たって排卵が安定してきた頃に始まるのが典型です。

もうひとつは器質性。子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫といった病気が背景にあるタイプです。20代後半以降に増え、年々重くなっていくのが特徴とされています。

同じ「生理痛」でも、出どころが違います

機能性(病気が背景にない)器質性(病気が背景にある)
始まる時期10代。初経の半年〜数年後から20代後半以降に始まる・重くなることが多い
痛む期間月経の初日〜2日目が中心月経の前から後まで長引くことがある
年齢とともに変わらない。軽くなる人もいる年々重くなりやすい
背景プロスタグランジンの出すぎ子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫など
ほかに出やすい症状とくになし性交痛・排便痛、生理以外の日の痛み、経血量の増加

なお、生理のに強くなるイライラ・むくみ・気分の落ち込みは、月経困難症ではなくPMS(月経前症候群)と呼ばれる別の話です。ざっくり言えば、生理が始まってからの痛みが月経困難症、始まる前の不調がPMS。両方ある方も珍しくありません。この記事では、痛みのほうを扱います。

ここでひとつ、はっきりさせておきます。「機能性なら我慢していい」ではありません。機能性・器質性は原因の分類で、この記事の線引きは行動の分類です。機能性でも、5〜15%は学校や仕事を休むほど重い。原因が何であれ、生活に響いているなら、それは調べたほうがいい側に入ります。

どちらのタイプかを、自分で確定することはできません。それは検査の仕事です。ただ、「調べたほうがいい痛みかどうか」の手がかりなら、自分で確認できます。次の章がこの記事の本体です。


「調べたほうがいい痛み」の、8つのサイン

次のリストを、この1年を思い出しながら見てください。

婦人科で相談する目安

  • 鎮痛剤を飲んでも、寝込む日がある
  • 鎮痛剤が効きにくくなってきた。飲む量や回数が増えている
  • 生理のたびに、仕事や学校を休む・早退する
  • 年々、痛みが重くなっている
  • 以前は痛くなかったのに、ここ数年で痛むようになった
  • 経血の量が増えた。昼でも夜用ナプキンが必要
  • 生理のとき以外にも、下腹部や腰が痛む
  • 性交時や排便時に痛みがある

1つでも当てはまれば、婦人科で相談する価値があります。原因が病気だと決まったわけではありません。ただ、調べる理由としては十分です。

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当てはまった方も、あわてなくて大丈夫です。すぐに病院へ、という話ではありません。次の生理が来る前に、近くの婦人科を1つ調べておく。まずはそれだけで十分です。

もうひとつ、性質のちがうリストがあります。こちらは「様子を見る」対象ではありません。

この場合は、生理を待たずに受診してください

  • 急に始まった、これまでと明らかに違う痛み
  • 生理と関係なく、ずっと続いている痛み
  • 発熱をともなう
  • おりものの色や匂いがいつもと違う

これらは月経困難症とは別の原因が背景にあることを示すサインとして挙げられているものです。次の生理まで待つ必要はありません。

いくつか、項目の意味を補足します。鎮痛剤の効きが落ちてきた・量が増えてきたは、この後の章で書くとおり、添付文書そのものが受診を促している状態です。経血量の増加(昼でも夜用が必要、レバーのような塊が続く)は、子宮筋腫や子宮腺筋症で見られるサインとして知られています。

そして性交時や排便時の痛み。生理と関係なさそうに見えて、これは子宮内膜症に特徴的な症状として資料に挙げられているものです。「生理痛の話で聞かれると思わなかった」という場所の痛みほど、診察では大事な情報になります。恥ずかしさで伏せてしまいやすい項目ですが、伝える価値があります。

「この程度で受診なんて大げさでは」と感じた方へ。婦人科は、病気になってから行く場所ではなく、病気かどうかを調べる場所です。調べて何もなければ、それは「大げさだった」ではなく「安心を手に入れた」です。


放っておくと、何が起きるか

重い生理痛を我慢し続けることのリスクは、痛みそのものだけではありません。見つかるはずの病気が、見つからないままになることです。

代表が子宮内膜症です。日本産婦人科医会の資料には、こう書かれています。月経困難症のある女性は、将来子宮内膜症になるリスクが高い(オッズ比2.6)。月経痛の頻度が高いほど、そのリスクは上がる。そして、月経困難症や慢性骨盤痛のある思春期女子に腹腔鏡検査を行った症例では、約3分の2に子宮内膜症が見つかったという報告があります。

子宮内膜症は、子宮の内側にあるはずの膜に似た組織が、卵巣や腹膜など子宮の外側にできてしまう病気です。その組織も月経のたびに出血と炎症を繰り返すため、周期に合わせて痛みが強くなり、放置すると癒着が進みます。10代で始まることも珍しくありません。

子宮内膜症は、30〜50%が不妊に関わると報告されている病気です。将来子どもを考えるかどうかに関わらず、早く見つかるほど選択肢は多く残ります。

子宮内膜症は、妊娠できる年齢の女性のおよそ18%にみられると報告されています。発症は20〜30代が多く、診断されたときの平均年齢は28歳というデータもあります。10代から症状があった人が、20代の終わりにようやく診断される。この「気づかれるまでの年数」を縮められるのが、受診です。

放置で心配されるのは不妊だけではありません。学会の資料では、内膜症への対応の目的として痛みの緩和、妊娠しやすさの改善、そして卵巣にできた嚢胞(チョコレート嚢胞)の破裂・感染・がん化の予防が挙げられています。時間をかけて進む病気なので、早い段階で見つかるほど、選べる手段は穏やかなもので済みます。

誤解しないでいただきたいのは、「生理痛が重い人はみんな内膜症」ではないということです。話は逆です。重い生理痛は、内膜症を早く見つけるための入口になる。我慢することは、その入口を自分で閉じることになります。

痛みは体質ではなく、体からの情報です。

痛んだ日に印をつけたカレンダーと鉛筆のイラスト
印をつけておくと、それが受診のときの言葉になります。

市販の痛み止めと、どう付き合うか

鎮痛剤が悪いわけではありません。痛み止め(NSAIDs)は月経困難症の治療でも第一選択とされ、約80%に有効と報告されています。痛くなりきってから飲むより、痛み始めの早い段階で飲むほうが効きやすいことも知られています。

では、どこからが「頼りすぎ」なのか。実は、その線は薬の添付文書に書いてあります。たとえばロキソニンSシリーズの「使用上の注意」には、こう書かれています。ひとつめは「相談すること」、ふたつめは「してはいけないこと」の項目です。

「1〜2回服用しても症状がよくならない場合(他の疾患の可能性も考えられる)は服用を中止し、この文書を持って医師、歯科医師又は薬剤師に相談してください」

「長期連続して服用しないでください。(3〜5日服用しても痛み等の症状が繰り返される場合には、服用を中止し、医師の診療を受けてください。)」

つまり、「効かないのに飲み続ける」は、添付文書が想定していない使い方です。メーカー自身が「効かないなら、別の病気の可能性を考えて受診してください」と書いている。鎮痛剤が効きにくくなってきたこと自体が、受診のサインなのです。

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薬の箱に入っている紙、実はここが大事なんです。「効かないときは相談してください」と、作っている会社自身が書いている。読み飛ばされがちですが、いちばん確かな目安です。

補足すると、「効かない」にも中身があります。飲むのが遅い(痛みがピークになってからでは効きにくい)、そもそも痛みの出どころが器質性(病気が背景にあると、鎮痛剤だけでは追いつかないことがある)。前者は飲み方の工夫で変わりますが、後者は薬を増やしても解決しません。区別できるのは検査だけです。

痛み止めとの付き合い方は、片頭痛の記事でも扱っています。頭痛でも同じで、「効かない薬を増やす」方向に進むと出口がなくなります。

痛み止め(NSAIDs)が痛みを抑える仕組みは、プロスタグランジンが作られるのを止めることです。ここが大事な点で、すでに作られてしまった分には効きません。だから「痛くなってから飲む」と、効きが悪く感じます。資料でも、痛みが始まった早い段階での服用が勧められています。

「痛くなる前に飲むのは体に悪い」と思っている方が多いのですが、用法・用量の範囲で使うぶんには、我慢して量が増えるほうがむしろ心配です。1日の上限回数を超えない・空腹時を避ける・決められた間隔をあける。この3つを守れば、早めに飲むことは理にかなった使い方です。

医療の現場では、痛みを感じたらすぐ飲む、あるいは月経が始まる前から飲み始めて2〜3日続ける、といった使い方が指導されることもあります。ただしこれは診察を受けたうえでの指導です。市販薬を自己判断で予防的に飲み続けるという意味ではないので、そこは分けて考えてください。市販薬の用法・用量は製品ごとに違います。

ただし、これは「毎月きちんと効いている人」の話です。早めに飲んでも効かないのであれば、飲み方の問題ではありません。前の章に書いたとおり、そこが受診の線です。


ピルで痛みにフタをする前に

ここからは、通販の店として書いておきたいことです。

当店では、マーベロンやトリキュラーといった低用量ピルを扱っています。避妊のために飲みはじめて、そうしたら生理も軽くなった。それもあって続けている。そういう方は、当店のお客様にもいらっしゃると思います。

それ自体は、おかしなことではありません。医療の現場でも、月経困難症の治療には低用量ピルの仲間(LEP)が使われます。仕組みは同じで、排卵と子宮内膜の増殖を抑えることで、痛みの元になる物質が作られる量そのものを減らします。鎮痛剤が「出た痛みを抑える」薬だとすれば、こちらは「痛みが出る量を減らす」薬です。

ただ、ひとつだけ、通販では届かないものがあります。

検査です。

卵巣に嚢胞(チョコレート嚢胞)ができているかどうかは、痛みの強さからは分かりません。超音波で見るしかない。そして学会の資料には、内膜症に対応する目的として「卵巣チョコレート嚢胞の破裂、感染、癌化の予防」が挙げられています。痛みを抑えることと、その先を管理することは、別の仕事なのです。

痛みが軽くなると、受診の理由は消えます。困っていないのだから、当然です。ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。薬が効いている状態は、調べなくていい理由にはなりません。

やめてください、とは言いません。使いながらで構いません。ただ一度だけ、検査と組み合わせてください。「異常はありません」と分かれば、それは安心して続けるためのいちばん確かな土台になります。何か見つかれば、早く見つかったということです。

当店で買っていただくかどうかは、そのあとの話です。

婦人科で医師と一緒に検査画面を見て説明を受けている場面のイラスト
薬は痛みを抑えます。検査は、その奥を見ます。

婦人科で、実際に何をされるのか

受診をためらう理由でよく聞くのが、「何をされるか分からない」、特に内診への不安です。

先に結論を書くと、内診は必須ではありません。医会の資料でも、診察はまず問診(いつから、どんな痛みか、月経の周期と量)から始まり、器質的な病気の見当をつけるのは主に超音波検査だとされています。性交経験がない場合には、お腹の上から超音波をあてる方法(経腹超音波)が選ばれることも明記されています。

もうひとつ、知られていないことを。生理痛の相談はふつうの保険診療です。特別な自費メニューを申し込む話ではなく、内科で風邪を診てもらうのと同じ枠組みで受けられます。

検査についても、順番があります。まず妊娠の可能性を調べる検査(痛みの原因として最初に外す必要があるため)、そして超音波で子宮や卵巣に嚢胞・筋腫などがないかを見ます。ここまでで見当がつくことがほとんどです。

それでもはっきりしない場合に、MRIなどの画像検査へ進むことがあります。初回からいきなり大がかりな検査をされるわけではありません。

不安なことは、最初に伝えて構いません。「内診に不安があります」から始めていい場所です。それで嫌な顔をされる心配をする必要はありません。

もうひとつの「分からない」が、行くタイミングです。

結論から言うと、生理中でも受診できます。出血があると超音波が見えないと思われがちですが、そんなことはありません。むしろ「いま痛い」状態を医師に見てもらえる利点もあります。とはいえ、気持ちの面で抵抗があるのは自然なことなので、無理に生理中を選ぶ必要もありません。

準備として持っていくと話が早いのは、次のものです。

受診の前に、そろえておくと話が早いもの

持ち物なぜ役に立つか
直近3か月の月経日周期の乱れがあるかどうかが一目で分かる。アプリの画面でも手帳のメモでも構いません
鎮痛剤の量の記録「1回の生理で何錠」が、痛みの強さを客観的に伝えるいちばん確実な情報になります
お薬手帳飲んでいる薬との組み合わせを確認するため。市販薬やサプリも伝えてください
基礎体温(あれば)排卵の有無の参考になります。なくても診察は進みます

服装は、下がゆったりしたスカートやワンピースだと着脱が楽です。もっとも、ふだんの服で行って困ることはありません。


治療の選択肢は、ひとつではありません

「受診したら、何かを強制されるのでは」という不安にも、先に答えておきます。月経困難症の治療には、いくつもの選択肢があります。

鎮痛剤で足りる人は、それでいい。効かない場合や器質性が疑われる場合には、ホルモン療法(LEPと呼ばれる低用量ピルの仲間)が使われます。漢方薬(芍薬甘草湯など)が選ばれることもありますし、器質性なら原因の病気そのものの治療が中心になります。

漢方薬にも役割があります。資料に名前が挙がっているのは芍薬甘草湯(筋肉の緊張をゆるめる方向の薬で、こむら返りにも使われます)などで、体質や希望に応じて選択肢になります。「ホルモンの薬には抵抗がある」という方が、医師とその相談をすること自体もふつうのことです。

もうひとつ知っておくと安心なのが、治療方針は「これから妊娠を希望するかどうか」でも変わるということです。学会の資料でも、妊娠を希望する場合・将来のために妊娠しやすさを保っておきたい場合・そうでない場合で、手術と薬のどちらを先にするかの考え方が分けて示されています。つまり、受診したら一律に同じ治療をされるわけではありません。ご自身の希望を伝えることが、そのまま方針に反映されます。

前の章とつながる話をもう一度だけ。どの選択肢が自分に合うかを決められるのは、検査と診察のあとです。痛みを抑える方法だけを先に手に入れても、原因の部分は分からないままになります。順番の問題であって、薬そのものの良し悪しの話ではありません。

ピルという薬について先に知っておきたい方には、ピルの安全性の記事低用量ピルの入門記事があります。知識があるほど、診察室での相談は速くなります。


受診のとき、これだけ言えば伝わります

最後に、伝え方です。うまく説明できる自信がなくて受診を先延ばしにする方が多いのですが、必要なのは次の3つだけです。

「いつから」「月に何日つらいか」「鎮痛剤をどれだけ飲んでいるか」。

たとえば、こうです。「生理痛が年々重くなっています。月に2〜3日は仕事に響きます。鎮痛剤は1回の生理で6錠くらい飲みますが、効かない日が出てきました」。これで十分すぎるほど伝わります。診断はこちらの仕事ではありません。気づいたことを、そのまま言葉にするだけで構いません。

お子さんの代わりに伝える場合も、同じ3点です。「初経は12歳で、この1年で痛みが強くなりました。学期に2〜3日休んでいます。市販の鎮痛剤は効いたり効かなかったりです」。これで、医師が知りたいことの大半はそろっています。

アプリや手帳の記録があれば見せてください。なければ、なくて大丈夫です。

痛みの我慢は、残念ながら続けられてしまいます。毎月やり過ごせてしまうから、区切りがない。だから、区切りは自分で引くしかありません。この記事のチェックリストが、その区切りです。


痛い日を、どうやり過ごすか

受診しても、次の生理がすぐ楽になるとは限りません。診断や治療の効果が出るまでの間も、毎月はやってきます。

温めることは、資料でも触れられている対処です。下腹部や腰を温めると血流が上がり、痛みがやわらぐことがあります。使い捨てカイロでも、湯たんぽでも、入浴でも構いません。低温やけどにだけ注意してください。

ソファに置かれたブランケットと湯たんぽ、温かい飲み物のイラスト
温めることは、資料でも挙げられている対処のひとつです。

十分な休息と睡眠、定期的な運動も、痛みを和らげる助けになることがあると資料に挙げられています。一方で、低脂肪食やオメガ3脂肪酸、マグネシウム、ビタミンB1・E、亜鉛といった栄養面の対策については「有用性を支持するデータはほとんどない」とされています(危険性も低いとされているので、試すこと自体を否定はしていません)。効くと断言されているものと、そうでないものは、分けて知っておくほうが損をしません。

もうひとつ、見落とされがちなのが予定の組み方です。周期がある程度読めるなら、痛みが強い1〜2日に重い予定を入れない。それだけで、体感は変わります。「調整できるわけがない」と思われるかもしれませんが、月に2日を守るために先に押さえておくと考えると、意外と成立します。

職場や学校への伝え方に迷う方もいます。細かく説明する義務はありません。「体調不良で」で十分です。生理休暇の制度がある職場なら使えますし、なくても有給は理由を問われません。伝えたくないことを伝えないまま休むのは、わがままではなく権利です。


娘さんの生理痛を、様子見にしない

ここまでご自身の話として読んでこられた方へ。もし娘さんがいらっしゃるなら、10代の生理痛についても知っておいてください。

思春期の月経困難症は、調査によって34〜94%と幅はあるものの、とても多いことが分かっています。痛みで学校を欠席する割合も7.7〜57.8%と報告されています。10代の生理痛の多くは、病気が背景にない機能性です。それは事実です。

ただ、さきほどの「腹腔鏡検査で約3分の2に子宮内膜症が見つかった」という数字は、思春期のデータです。対象になったのは、月経困難症や慢性的な骨盤の痛みが強かった10代。つまり「若いから病気ではない」は、痛みが強い場合には成り立ちません。

大人にできることは3つです。「そのくらい普通」と言わないこと。記録を一緒につけること(何日目にどれだけ痛むか、鎮痛剤を何錠飲んだか)。そして、受診に付き添うこと。初めての婦人科は、大人でも緊張します。内診が必須ではないこと、お腹の上からの超音波で調べられる場合があることは、前の章に書いたとおりです。



お薬市場で扱っているもの

この記事に出てきた低用量ピルのうち、当店で扱いのあるものです。生理痛を治すために買うものとしてではなく、すでに使っている方・医師と相談したうえで選ぶ方の参考としてご覧ください。

マーベロン

マーベロン

デソゲストレル配合/第3世代の低用量ピル

1,980円〜

商品情報を見る ▶
トリキュラー

トリキュラー

レボノルゲストレル配合/三相性の低用量ピル

2,180円〜

商品情報を見る ▶
ヤスミン

ヤスミン

ドロスピレノン配合/超低用量タイプ

3,280円〜

商品情報を見る ▶

※価格は2026年8月時点の一例で、規格・数量により異なります。海外で流通する製品を含み、日本国内で承認されているものではありません。効果や副作用の感じ方には個人差があります。使用の可否は医師・薬剤師にご相談のうえ、個人輸入の制度と自己責任の原則をご理解のうえでご検討ください。

繰り返しになりますが、痛みの原因を調べることと、薬を選ぶことは順番があります。先に検査を受けてください。

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薬を並べておいてなんですが、順番だけは譲れません。調べてから選ぶ。そのほうが、結果的に長く安心して使えます。


よくある質問

Q通販でピルを買って飲んでいます。やめたほうがいいですか

Aやめる必要はありません。この記事の答えは「一度、検査を」です。痛みの原因を確かめたうえで続けるのと、確かめないまま続けるのとでは、同じ1錠でも意味が変わります。持病や気になる症状がある方は、必ず医師にご相談ください。

Q生理痛くらいで婦人科に行っていいのでしょうか

A行っていい場所です。婦人科は病気になってから行く場所ではなく、病気かどうかを調べる場所です。チェックリストに1つでも当てはまるなら、相談する理由として十分です。

Q内診は必ずありますか

A必須ではありません。問診と超音波検査を中心に進める方法があり、性交経験がない場合はお腹の上からの超音波が選ばれることもあります。不安があれば、最初にそう伝えて構いません。

Q鎮痛剤を毎月飲むのは、体に悪くないですか

A用法・用量の範囲で使うなら、鎮痛剤は有効な手段のひとつです。注意すべきは「効かないのに飲み続ける」ことのほうで、添付文書にも、1〜2回服用しても良くならない場合は他の疾患の可能性を考えて相談するよう書かれています。

Qピルを自分で買って、治療を始めてもいいですか

Aお勧めしません。月経困難症の治療としてのピル(LEP)は、検査で状態を確かめたうえで、医師の診断と処方のもとで使うものです。痛みの原因を調べないまま薬だけ変えると、病気の発見が遅れるおそれがあります。

Q生理中でも受診できますか

Aできます。出血していても超音波検査は可能です。ただ、気持ちの面で抵抗があれば、無理に生理中を選ぶ必要はありません。直近3か月の月経日と鎮痛剤の量をメモしておくと、いつ行っても話が早く進みます。

Q痛みが強い日だけ休むのは、甘えでしょうか

A甘えではありません。月経に伴う症状による欠勤やパフォーマンス低下は、経済産業省が年間約0.6兆円と試算するほど広く起きていることです。個人の根性の問題として扱われてきただけで、対処すべき症状です。


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おわりに

「我慢できるかどうか」で受診を決めると、我慢強い人ほど発見が遅れます。決め手は我慢の強さではなく、鎮痛剤が効いているか、生活に響いているか、年々重くなっていないか。この3つです。

そして最後にひとつ。「我慢していい痛み」は、我慢しなくていい痛みでもあります。鎮痛剤が効くなら、正しく使って楽に過ごしてください。「調べたほうがいい痛み」に心当たりがあった方は、次の生理が来る前に、近くの婦人科を調べてみてください。

痛みは体質ではなく、体からの情報です。情報は、受け取られてはじめて意味を持ちます。

調べて何もなければ、それがいちばん良い結果です。何かが見つかれば、早く見つかったことが良い結果です。どちらに転んでも、受診は損になりません。

薬を売っている店が、薬の前に検査をと言うのは、遠回りに見えるかもしれません。ただ、原因が分かったうえで使う薬と、分からないまま使う薬は、同じものでも意味が違います。長く付き合っていただくために、この順番をお伝えしました。

ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。スタッフ一同、お待ちしております。


参考・出典

※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。症状の感じ方には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断で対処を続けず、医師・薬剤師にご相談ください。

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