ハイプロン(ザレプロン)の成分と肝臓への影響|ほかの睡眠薬との違いと選び方
目次

ハイプロンの成分ザレプロンは、どんな薬?
ザレプロンは、脳のはたらきを落ち着かせて眠りに入りやすくする「非ベンゾジアゼピン系」の睡眠薬の成分です。飲んで約1時間で血液中の量が最も多くなり、約1時間で半分に減る、とても短い時間だけ効くのが特徴です。
| ザレプロンの基本 | |
|---|---|
| はたらき | 脳の神経の興奮をしずめるGABA(ギャバ)のはたらきを強めます。眠気に関わる受け皿(ω1受容体)に選んで作用するため、筋肉がゆるむ作用や不安をおさえる作用は弱いとされています |
| 効くまで | 吸収が速く、血液中の量が最も多くなるのは飲んで約1時間後。そのため寝る直前に飲む薬とされています |
| 効いている時間 | 半減期(体の中の量が半分になる時間)は約1時間。毎日飲んでも体にたまりません |
| 向いている不眠 | 寝つきが悪いタイプ(入眠障害)。夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めるタイプには効きにくい薬です |
| 日本での扱い | 日本では承認されていない成分です。米国ではSonata(ソナタ)の名前で承認されています |
※米国のSonata(ザレプロン)添付文書(2019年8月改訂)より。
ザレプロンは、体の中でどう分解される?
ザレプロンは、飲んだ量のほとんどが肝臓で分解されてから尿として出ていきます。そのまま尿に出る量は1%未満で、肝臓のはたらきが効き方に直結する薬です。
| ザレプロンが体から出ていくまで | |
|---|---|
| 吸収 | ほぼすべてが腸から吸収されますが、肝臓を最初に通るときに約7割が分解されます(初回通過効果) |
| 主な分解 | 肝臓のアルデヒドオキシダーゼという酵素で分解されます |
| 補助的な分解 | 一部はCYP3A4という酵素でも分解されます。この酵素に影響する薬と飲み合わせに注意が必要です |
| 排出 | 分解されたあとの物質(効き目はありません)が、主に尿から出ていきます。腎臓の病気があっても、軽〜中等度なら量の調整は不要とされています |
※米国のSonata添付文書(薬物動態の項)より。
ハイプロンは、肝臓に悪い?
ザレプロンそのものが肝臓を傷めるという報告は多くありません。気をつけたいのは逆の向きで、肝臓が弱っているとザレプロンが分解されにくくなり、体に残る量が何倍にも増えることです。

- •翌朝まで眠気が残る:本来は数時間で抜ける薬でも、分解が遅いと朝のふらつきや集中力の低下につながります
- •記憶が飛ぶ・ふらついて転ぶ:効きすぎると、夜中に起きたときのことを覚えていない、トイレに行く途中で転ぶといったことが起こりやすくなります
- •半分にできない:ハイプロンは10mgのカプセルで、5mgに分けることができません。肝臓の病気がある人は自己判断で使わず、医師に相談してください
※米国のSonata添付文書(肝機能障害・用量の項)より。
健康診断で肝臓の数値を指摘されたら?
AST・ALT・γ-GTPが少し高いだけで、すぐにハイプロンが飲めなくなるわけではありません。ただ、数値が高い理由によっては分解のはたらきが落ちていることがあるため、続けて飲む前に一度、医師に相談するのが安心です。
- •健診で肝臓の数値を「要再検査」「要精密検査」と言われた判定の理由を確認してから続けるか決めましょう
- •脂肪肝・肝炎・肝硬変と診断されている分解が遅くなり、薬が効きすぎることがあります
- •ほぼ毎日お酒を飲むアルコールは肝臓に負担をかけるうえ、睡眠薬と一緒に飲むと眠気やふらつきが強くなります
- •胃薬のシメチジン(タガメットなど)を飲んでいるザレプロンの量が約1.85倍に増えます
- •65歳以上である同じ量でも効きすぎやすく、米国では5mgが推奨されています
- •睡眠薬を10日以上続けても寝つきがよくならない不眠の裏に別の病気が隠れていることがあります
一緒に飲むと危ない薬は?
ザレプロンの分解に関わる酵素に影響する薬や、同じように眠気を強める薬との組み合わせに注意が必要です。今飲んでいる薬がある人は、必ず医師か薬剤師に確認してください。
| 飲み合わせで注意したいもの | |
|---|---|
| 効きすぎる | シメチジン(胃薬):ザレプロンの量が約85%増えます。米国では5mgから始めることとされています |
| 効かなくなる | リファンピシン(結核の薬):ザレプロンの量が約80%減ります。カルバマゼピン・フェニトインなど一部のてんかんの薬も同じ方向に働くことがあります |
| 眠気が重なる | お酒、ほかの睡眠薬や抗不安薬、抗ヒスタミン薬(かぜ薬・花粉症の薬の一部)、強い痛み止め。翌朝のふらつきや呼吸が浅くなる原因になります |
| 食事 | 脂っこい食事のすぐあとに飲むと、効き始めが約2時間遅れ、効き目も弱くなります |
※米国のSonata添付文書(相互作用の項)より。
ほかの睡眠薬と、何が違う?
日本でよく使われる睡眠薬と比べると、ザレプロンは効いている時間がもっとも短い部類です。寝つきだけを助けて朝に残りにくい一方、夜中に目が覚めるタイプの不眠には向きません。

| 成分(主な商品名) | 効いている時間 | 肝臓の病気があるとき |
|---|---|---|
| ザレプロン(ハイプロン、ザレシン) | 約1時間・超短時間型 | 軽〜中等度は5mgに減量、重度は使わない(米国) |
| ゾルピデム(マイスリー) | 約2時間・超短時間型 | 重い肝障害がある人は使えない(日本) |
| エスゾピクロン(ルネスタ、ハイプナイト) | 約5時間・短時間型 | 重い肝機能障害は1mgから、上限2mg(日本) |
| ラメルテオン(ロゼレム) | 約1〜2時間・体内時計に作用 | 高度な肝機能障害がある人は使えない(日本) |
| メラトニン(サプリメント) | 約1時間・体内時計に作用 | 医薬品としてのデータは少なく、持病がある人は相談を |
※半減期は各添付文書の目安値。ザレプロンは米国、その他は日本の添付文書より。
自分に合う睡眠薬は、どう選ぶ?
まず、不眠のタイプを分けて考えます。寝つけないのか、夜中に目が覚めるのか、朝早く目が覚めるのかで、向いている薬が変わります。
| 不眠のタイプと向いている薬の目安 | |
|---|---|
| 寝つけない | ザレプロン(ハイプロン)、ゾルピデムなど効いている時間が短い薬。翌朝に残りにくいのが利点です |
| 夜中に目が覚める | エスゾピクロン(ハイプナイト)など、もう少し長く効く薬が候補になります |
| 寝る時間がずれる | ラメルテオン(ロゼレム)やメラトニンなど、体内時計に作用するもの。依存しにくいとされています |
| 肝臓の病気がある | 自己判断で選ばず、医師に相談してください。量を減らせる錠剤の薬が選ばれることが多くなります |
※2026年11月4日時点の価格です。最新の価格と在庫は各商品ページでご確認ください。
ハイプロンを安全に使うためのポイントは?
ふとんに入ってから飲むこと、7〜8時間眠れる夜だけ使うこと、お酒と重ねないこと。この3つを守るだけで、翌朝のふらつきや夜中のトラブルの多くは防げます。
| 使い方の基本 | |
|---|---|
| 飲むタイミング | 寝る直前、またはふとんに入って寝つけないとき。飲んだら起きて作業をしないでください |
| 量 | 1回1カプセル(10mg)。米国では20mgを超える量はすすめられておらず、量を増やすほど翌日の物忘れなどが増えます |
| 眠れる時間 | 7〜8時間眠れないときは飲まない。翌朝の運転は、眠気が残っていないことを確かめてから |
| 続ける期間 | 7〜10日続けても寝つきがよくならないときは、別の原因を医師に相談します |
| やめるとき | やめた最初の夜に寝つきが悪くなることがありますが(反跳性不眠)、2日目にはおさまることが多いとされています |
※米国のSonata添付文書(用法・用量、使用上の注意の項)より。
- •眠ったまま行動した:寝ている間に歩く、食べる、車を運転するなどの行動(複雑睡眠行動)が報告されています。家族に指摘されたら、すぐに使うのをやめてください
- •皮膚や白目が黄色い・強いだるさ:肝臓のはたらきが落ちているサインのことがあります
- •舌やのどが腫れる・息苦しい:まれに重いアレルギー反応が起こることがあります
- •気分が落ち込む・考え方がおかしい:不眠の裏にうつ病などが隠れていることがあります
※米国のSonata添付文書(警告の項)より。
よくある質問
ハイプロンを毎日飲んでも、肝臓は大丈夫?
ザレプロンが肝臓を傷めるという報告は多くありません。ただ、肝臓のはたらきが落ちると効きすぎる薬なので、毎日飲む人は年に1回は健診で肝臓の数値を確認し、指摘があれば医師に相談してください。
お酒を飲んだ日に飲んでもいい?
おすすめしません。アルコールとザレプロンはどちらも脳のはたらきを落ち着かせるため、眠気やふらつき、記憶が飛ぶといったことが起こりやすくなります。お酒を飲んだ日は使わないでください。
カプセルを開けて半分だけ飲める?
中身を正確に半分にすることは難しく、おすすめしません。5mgが必要な人(肝臓の病気がある人、高齢の人など)は、量を調整できる別の薬も含めて医師に相談してください。
ハイプロンとハイプナイトは、どちらが肝臓にやさしい?
どちらも肝臓で分解される薬で、「こちらが肝臓にやさしい」とは言えません。ハイプナイト(エスゾピクロン)は錠剤で1mgから量を調整しやすい一方、効いている時間はハイプロンより長くなります。
ハイプロンとザレシンは何が違う?
どちらも成分はザレプロン10mgで、製造会社と包装が違います。効き目は同じと考えてよく、どちらか一方を選んでください。2つを同じ夜に重ねて飲むことはしないでください。
夜中に目が覚めたとき、もう1カプセル飲んでもいい?
おすすめしません。米国の添付文書では、眠れる時間が7〜8時間残っていないときに飲むと翌朝のふらつきや運転への影響が増えるとされ、ほかの睡眠薬を夜中に重ねることも勧められていません。夜中に目が覚めることが多い人は、ハイプロンより長く効く薬が合っていることがあります。
肝臓の病気があっても使える睡眠薬はある?
病気の程度によって変わります。量を減らして使える薬や、体内時計に作用する薬が選ばれることがありますが、重い肝臓の病気では使えない薬も多いため、必ず主治医に相談してください。
まとめ
ハイプロンの成分ザレプロンは、効いている時間が約1時間と短く、寝つきだけを助けて朝に残りにくい睡眠薬です。肝臓を傷める薬として知られているわけではありませんが、ほぼすべてが肝臓で分解されるため、肝臓のはたらきが落ちていると体に残る量が増え、効きすぎることがあります。健康診断で肝臓の数値を指摘された人、毎日お酒を飲む人、胃薬のシメチジンを飲んでいる人、65歳以上の人は、続ける前に医師に相談してください。夜中に目が覚めるタイプの不眠や、肝臓の病気がある人は、ほかの薬が合うこともあります。 お薬市場 編集部
この記事は、米国のSonata(ザレプロン)添付文書、日本の各睡眠薬の添付文書などをもとにした一般的な情報です(2026年11月4日時点)。医師の診断や処方に代わるものではなく、効果や副作用には個人差があります。ザレプロンは日本では承認されていない成分です。使用・中止・切りかえは、必ず医師か薬剤師に相談してください。個人輸入での使用は自己責任となり、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
参考・出典(2026年11月4日確認)
- •Sonata (zaleplon) Capsules Prescribing Information(米国FDA、2019年8月改訂) https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2019/020859s016lbl.pdf
- •マイスリー錠 添付文書(PMDA) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
- •ルネスタ錠 添付文書(PMDA) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
- •ロゼレム錠 添付文書(PMDA) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
- •お薬市場「配送について」 https://okusuriichiba.com/guide/shipping






