夏から秋への季節の変わり目はむくみやすい?原因・解消法を解説
目次

むくみ(浮腫)は、全身的に現れるタイプと、特定の部位(例えば下腿)に限定される局所的なタイプがあります。局所的なむくみは、病気が原因ではなく、生活習慣に関連することが多いとされています。特に夏から秋にかけての季節の変わり目は、むくみが発生しやすい時期です。
この記事では、夏から秋の季節の変わり目に下腿で見られるむくみの原因と対策について詳しく解説します。また、むくみ解消に役立つ薬も紹介します。これを読めば、むくみの概略が分かるでしょう。むくみの解消を目指す際の参考にしてみてください。
むくみとは?
人体は約60%が水分で構成されています。この水分の約2/3は細胞内に存在する「細胞内液」であり、残りの約1/3は血液や細胞間を満たす「細胞外液」です。通常、細胞内液と細胞外液は相互にやり取りされ、体内の水分バランスが保たれています。
このバランスが何らかの原因で崩れると、細胞外液が過剰に蓄積し、結果としてむくみ(浮腫)が発生します。
むくみやすい生活習慣

むくみは生活習慣の偏りに影響されることがあります。
- •水分・塩分の取りすぎ
- •無理なダイエットによる必要不可欠な栄養素の不足
- •睡眠不足
- •睡眠前の飲酒
- •運動不足
- •ストレス
女性は体の構造的な理由から男性に比べてむくみを経験しやすい傾向にあります。特に、冷え性の方では血行が悪くなりやすいため、下腿の水分循環が不十分になることがあります。血管やリンパ管からの水分が細胞外液に漏れ出しやすくなり、下腿にむくみが生じることがあります。

季節の変わり目は、むくみやすい
夏季は発汗による脱水を防ぐため、多くの人が水分摂取量を増やします。その結果、秋になっても夏の水分摂取の習慣が残ることがしばしばあります。夏から秋にかけての季節の変わり目には、日中はまだ暑く、朝晩は涼しくなり手足が冷えることが多いです。体内の水分バランスが乱れ、特に下腿部分でのむくみが生じやすくなります。
むくみそのままにするとどうなるのか

本記事で取り上げたような一時的なむくみは一般的には病気ではなく、通常は健康に大きな影響を与えることはありません。しかし、むくみが強くなったり、長期間にわたって続く場合には、何らかの健康問題や病気が原因である可能性があります。そのような症状が見られる場合には、適切な診断と治療のために医療機関を受診することをお勧めします。
むくみの原因となる病気
むくみは心不全、リンパ浮腫、腎炎、ネフローゼ症候群、肝硬変、甲状腺機能低下症、特発性浮腫など様々な病状の兆候として現れることがあります。医療機関では、診察、血液検査、胸部レントゲン、心電図検査などを通して診断を行います。
診断の結果、何らかの病気が確認された場合は、適切な治療を医療機関で受ける必要があります。一方で、むくみが体質に起因するものであると診断される場合もあります。この場合、病気によるものではないということになります。
むくみ解消のポイント

むくみの原因が体質の場合は、生活習慣を改善することが必要です。
- •水分や塩分を取り過ぎないようにする
- •無理なダイエットは止め、栄養をしっかりとる
- •睡眠前の飲酒をやめ、十分に睡眠をとる
- •運動する
- •ストレスを解消する
それでも改善しない場合は、むくみ解消薬の服用を検討するとよいでしょう。
むくみ解消薬をご紹介
むくみを改善するために用いられる医薬品として、利尿薬があります。ただし、利尿薬は処方薬であり、病気が原因でむくみを経験している方は、医師の処方と指導のもとで服用する必要があります。健康な人が利尿薬を服用する際には、副作用に注意し慎重に使用することが重要です。特に電解質のバランスの異常には注意が必要です。
血液検査でナトリウム値が低い場合は利尿薬の使用を控えるべきです。またカリウムの値によって利尿薬の種類を使い分けることが重要です。例えば、カリウム値が高い場合はカリウムを排出するタイプの利尿薬を、カリウム値が正常または低い場合はカリウムを保持するタイプの利尿薬が選択されることがあります。
以下のようにカリウムの値によって使い分けてください。
- •カリウムがやや高値の方はトラセミド
- •カリウムが正常の中間値の方はダイトール
- •カリウムがやや低値の方はハイレス
- •
ダイトール
トラセミドを主成分とする利尿薬であるルプラックのジェネリックです。
体内の水分・塩分を排泄するループ利尿薬に含まれます。
1回4~8mgを1日1回朝食後に服用しますが、通常は4mgを使ってください。
本商品は10mgですから、半分以下にすることが必要です。
トラセミドよりも低カリウム血症になりにくいのが特徴です。
~本剤を使ってはいけない人(禁忌)~
- •無尿の方
- •肝性昏睡
- •低ナトリウム血症
- •低カリウム血症
- •デスモプレシン酢酸塩水和物を投与中の方
- •本剤の主成分またはスルフォンアミド誘導体に対して過敏症のある方
~注意事項~
急激に利尿効果が現れることがあるので、少量から投与を開始して、徐々に増量してください。
連用する場合は、電解質検査が定期的に必要です。
血圧が低下し、めまい・ふらつきが生じることがあるので、高所作業、自動車の運転等には注意するしてください。
~副作用(出現頻度0.1~5%)~
- •血小板減少
- •低ナトリウム血症
- •低カリウム血症
- •高カリウム血症
- •めまい・ふらつき
- •肝障害
- •腎障害など
詳細はリンクページをご覧ください。
トラセミド(トール)
トラセミドを主成分とする利尿薬であるルプラックのジェネリックです。
体内の水分・塩分を排泄するループ利尿薬に含まれます。
1回4~8mgを1日1回朝食後に服用しますが、通常は4mgを使ってください。
本商品は10mgですから、半分以下にすることが必要です。
トラセミドよりも低カリウム血症になりにくいのが特徴です。
~本剤を使ってはいけない人(禁忌)~
- •無尿の方
- •肝性昏睡
- •低ナトリウム血症
- •低カリウム血症
- •デスモプレシン酢酸塩水和物を投与中の方
- •本剤の主成分またはスルフォンアミド誘導体に対して過敏症のある方
~注意事項~
急激に利尿効果が現れることがあるので、少量から投与を開始して、徐々に増量してください。
連用する場合は、電解質検査が定期的に必要です。
血圧が低下し、めまい・ふらつきが生じることがあるので、高所作業、自動車の運転等には注意するしてください。
~副作用(出現頻度0.1~5%)~
- •血小板減少
- •低ナトリウム血症
- •低カリウム血症
- •高カリウム血症
- •めまい・ふらつき
- •肝障害
- •腎障害など
詳細はリンクページをご覧ください。
ハイレス
利用薬スピロノラクトンのジェネリックです。
1回50~100mgを1日1回朝食後に服用しますが、通常は50mgを用いてください。
本商品は100mgですから、半分にして服用します。
本剤は高カリウム血症になりやすいのがデメリットです。
~本剤を使ってはいけない人(禁忌)~
- •無尿の方
- •急性腎不全
- •高カリウム血症
- •アジソン病
- •タクロリムス、エプレレノン、エサキセレノン、ミトタンと投与中の方
- •本剤の主成分に対し過敏症のある方
~注意事項~
急激に利尿効果が現れることがあるので、少量から投与を開始して、徐々に増量してください。
連用する場合は、電解質検査が定期的に必要です。
血圧が低下し、めまい・ふらつきが生じることがあるので、高所作業、自動車の運転等には注意するしてください。
~副作用(出現頻度不明)~
- •血小板減少
- •低ナトリウム血症
- •高カリウム血症
- •急性腎不全
- •女性化乳房・乳房腫脹(出現頻度0.1~5%)
詳細はリンクページをご覧ください。
電解質異常の際に見られる症状
利尿薬を服用中に以下のような症状が見られたら、服用を中止して、医療機関を受診してください。
~低ナトリウム血症~
- •軽度の低下で疲労感
- •中等度の低下で頭痛・嘔吐
- •高度の低下で昏睡・けいれん
~低カリウム血症~
- •軽度の低下で力が抜ける感じ
- •中等度で手足のだるさ、こわばり、筋肉痛、不整脈
- •高度の低下で呼吸困難、立っていられなくなる、赤褐色の尿
~高カリウム血症~
- •軽度の増加で四肢が重い感じや冷感
- •中等度の増加で脱力感、しびれ感、胃腸症状
- •高度の増加で呼吸困難、不整脈など
まとめ
むくみの症状に悩んでいる人は少なくありません。
むくみは冬のイメージがあるかもしれませんが、夏から秋への季節の変わり目にも起こりやすい症状です。
むくみが強くなったり、長く続いたりする場合は、何か原因となる病気がないか、医療機関で調べてもらいましょう。
特に病気でなければ、生活習慣を改善すれば改善します。
それでもむくみが改善せず気になる場合は、むくみ解消薬の服用を検討してもよいでしょう。
