【肥満治療薬】オルリスタットとは?脂肪吸収阻害メカニズムと効果
💉 その他の治療薬|更新日: 2025年9月16日
オルリスタットとは
オルリスタット(Orlistat)は、肥満症の治療に使用される脂肪吸収阻害薬です。商品名「ゼニカル(Xenical)」として知られ、1998年にロシュ社によって開発されました。従来のダイエット薬とは異なり、中枢神経系に作用せずに消化管内で直接作用し、食事由来の脂肪吸収を約30%阻害します。FDA承認済みの安全性の高い肥満治療薬として、世界中で広く使用されています。
脂肪吸収阻害メカニズム
1
リパーゼ阻害
膵リパーゼを不可逆的に阻害
2
脂肪分解阻止
トリグリセリド→脂肪酸変換を阻止
3
吸収阻害
約30%の脂肪が吸収されずに排出
4
体重減少
摂取カロリー減少で体重減少
他のダイエット薬との比較
作用機序の比較
| 項目 | オルリスタット | 食欲抑制剤 | GLP-1受容体作動薬 |
|---|---|---|---|
| 作用部位 | 消化管内 | 中枢神経系 | 全身(脳・胃・膵臓) |
| 作用機序 | 脂肪吸収阻害 | 食欲中枢抑制 | 満腹感増強・胃排出遅延 |
| 全身吸収 | ほぼゼロ | あり | あり |
| 依存性 | なし | リスクあり | なし |
| 長期使用 | 安全 | 制限あり | 比較的安全 |
オルリスタットの優位性
- 局所作用:消化管内のみで作用し全身への影響最小
- 安全性:中枢神経系への影響なし
- 依存なし:薬物依存や耐性形成のリスクなし
- 長期使用可:最大2年間の継続使用データあり
- 教育効果:脂肪摂取行動の自然な改善
- 代謝改善:脂質異常症・糖尿病予防効果
臨床効果・データ
体重減少効果
12週間
-5.2kg
プラセボ比+2.4kg減
24週間
-8.7kg
プラセボ比+4.1kg減
52週間
-10.2kg
プラセボ比+4.8kg減
多面的効果
体重・体組成改善
- • 体重5%以上減少:60%の患者
- • 体重10%以上減少:26%の患者
- • 内臓脂肪面積:平均32%減少
- • ウエスト周囲径:平均8.5cm減少
代謝パラメータ改善
- • 総コレステロール:平均11%低下
- • LDLコレステロール:平均12%低下
- • 収縮期血圧:平均6.1mmHg低下
- • HbA1c:平均0.4%改善
適応症・効果的な使用法
適応症
- BMI 30kg/m²以上の肥満症
- BMI 27kg/m²以上+合併症のある過体重
- 2型糖尿病の体重管理
- 脂質異常症の体重管理
- 高血圧の体重管理
- 睡眠時無呼吸症候群の改善
用法・用量
標準用法・用量
- 標準用量:120mg 1日3回(食事中または食後1時間以内)
- 服用タイミング:主要な食事(朝・昼・夕)の際に服用
- 脂肪を含まない食事:服用を省略してもよい
- 最大使用期間:2年間(安全性データあり)
💡 効果的な服用法
- • 低脂肪食と組み合わせる(1日脂肪摂取量30%以下)
- • 脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の補充を検討
- • 食事日記をつけて脂肪摂取量を把握
- • 定期的な体重・体脂肪測定で効果を確認
- • 運動療法・行動療法との併用が効果的
副作用
胃腸系副作用(主要)
- 脂肪便・油様便(最多)
- 軟便・下痢
- 腹部膨満・腹痛
- 排便回数増加
- 直腸出血・痔の悪化
- 便失禁・便意切迫
- 胃腸内ガス増加
- 吐き気・嘔吐
※ これらの副作用は薬の作用機序による正常な反応で、低脂肪食により軽減可能です
その他の副作用・注意事項
- 脂溶性ビタミン欠乏:長期使用時のビタミンA,D,E,K不足
- 肝機能障害:稀に重篤な肝障害(即座に服用中止)
- 腎結石:シュウ酸腎症のリスク(水分摂取重要)
- 胆石症:急激な体重減少時のリスク増加
重要な注意事項
禁忌・使用不可
- • 慢性吸収不良症候群の方
- • 胆汁うっ滞のある方
- • 妊娠・授乳中の女性
- • オルリスタットにアレルギーのある方
- • 18歳未満(安全性未確立)
- • 神経性食欲不振症・過食症の方
相互作用・慎重投与
- • ワルファリン服用中(INR値モニタリング必要)
- • 甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシン)服用中
- • 抗てんかん薬(フェニトイン等)服用中
- • シクロスポリン服用中(血中濃度低下)
- • 糖尿病治療薬服用中(血糖値変動注意)
- • 脂溶性ビタミン・β-カロテンサプリメント併用時
免責事項
※この情報は教育・参考目的で提供されており、医学的アドバイスの代替ではありません。
※薬物の使用前には必ず医師・薬剤師にご相談ください。
※個人輸入薬の使用は自己責任となります。

